全ては作者の出まかせであってほしい〜猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言

猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言

猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言

読了。元ヤクザの組長が語るアンダーグラウンドのよもやま話。

西原理恵子氏はほとんど出てこないので、ファンはがっかりするかも(^_^;)。
語られていることがどの程度真実かは分からない。ただ、発展途上国での人身売買の章は、同じ子供を持つ者としてはあまりにも凄惨で、非人道的で、身を切られるほど酷いエピソードに満ちている。

願わくば、ここで語られている事が、作者のでまかせである事を心から願う。

弱者を率い続けた"最強"の男〜『弱者の兵法』(野村克也氏)

弱者の兵法

弱者の兵法


野村克也氏は、最強です。


長嶋、王の両氏に隠れて目立たなかったが、素体スペックで見ると、紛れもなくプロ野球史上最強の選手であると考えています。


私は、野村克也氏の事をずっと誤解していました、
ID野球というデータを重視する賢者のイメージから、王貞治氏と同様に早稲田あたりで統計学を専攻した人間だと思っていました、


だが、実は彼は、極貧家庭の生まれでした。父を早く亡くした彼は、兄が大学進学を諦めることで、高校に進学できました。さらにボールの握り方さえ教えてもらえなかった弱小野球部の出身でした。普通ならば、プロ野球選手になろうという発想にさえ絶対至ることのない環境であると言えます。


しかし、彼は各球団に手紙を書いて契約金ゼロで南海に滑り込み、何度もクビになりそうになりながら、「クビなったら南海鉄道に飛び込む」とゴネまくり、45歳に引退するまでに以下のような功績を立てることに成功します。

・戦後初の三冠王(捕手の三冠王は世界史上初)
・通算本塁打数歴代2位(以下、いずれも1位は王貞治
・通算安打数歴代2位
・通算打点数歴代2位
・選手兼監督を兼任し、「4番打者」「捕手」「監督」の3つの重責をひとりで担いつつ、打点王も獲得。

家族の愛情やサポートに恵まれ、甲子園出場経験もある文武両道の名門進学校を卒業してプロになった長嶋茂雄氏や王貞治氏とは異なり、野村克也氏は、底辺から己単体の才覚のみで彼等2人に匹敵、いや、項目によっては彼等を遥かに超える業績を叩き出しました。


これが、私が野村克也氏を"最強"と評する理由です。


この本の凄さは、そのタイトルにあります。
『弱者の兵法』。


いかがでしょうか?


もう一度繰り返します。


野村克也氏は、"最強"です。


しかし、彼は終生己を"弱者"と認識しており、さらには率いる選手全てをたとえどんなに才能があったとしても"弱者"と認識していました。

〉野球は〝たら・れば〟のスポーツである。たら・れば〟のスポーツだからこそ、勝つためには極限までリスクを抑え、可能な限り成功する可能性の高い選択肢を選ばなければならない。それは、弱者の兵法の鉄則でもある。


だから彼は勘に頼らずデータを信用しました。さらに、彼はこう言っています。

〉だが──なによりデータを重視する私がいうのは奇異に思われるかもしれないが──データは絶対ではない。データはあくまでも過去のものであり、それを妄信してしまうのは禁物なのだ。過去のデータを踏まえつつも、つねにそれを最新のものに置き換えておかなければならない。そのために、とくにキャッチャーには打者分析の能力が不可欠であり、そのために必要なのが観察力と洞察力なのである。


己を弱者と捉える彼は、自らの強みであるはずの取得したデータでさえ、信用していませんでした。


ただ、この本からわかるのは野村氏の凄さだけではありません。人間臭さも滲み出ています。例えば、己の勘でのし上がり、自分に自信を持ち、自分が強者であることを疑わないイチローには手厳しい表現が続きます。
一方で犬猿の仲と思っていた星野仙一氏の能力を高く評価しているのは意外でした。
(→阪神の後任監督に推薦したのは、実は野村氏本人だったという事実には正直驚かされました)
内容については、どうしても昔の選手は良かったという論調になりがちで、戦略論めいた話よりも精神論的な話のウエイトのほうが大きいです。この辺も非常に人間臭いですね。戦略論を期待して読むと肩透かしに合うかもしれません。
また、彼の成功は、プロ野球自体が現在ほど短期的な成果を求められなかった時代であることも深く関係していると思われます。「失敗と書いて成長と読む」という座右の銘や、「一年目は土を耕し、二年目に種を撒いて、育てます。花を咲かせるのは三年目です。それまで待ってくれますか?」という彼が監督を引き受けるに当たって出している条件も、今では受け入れられない可能性が高いでしょう。


しかしこの本が、底辺から徒手空拳で頂点を掴んだ男が語った名著であることに変わりはありません。


我々が彼から学ぶべきは、己を弱者だと認識し続けるその姿勢にこそあるのですから。


弱者の兵法

弱者の兵法